それは個別指導の比較的規模の小さい塾の非常勤講師採用されて2年目の出来事。

煮ても焼いても食えないような生徒がひとりいたのです。数学はまだ救いがあるものの、英語は絶望的、国語は本人が日本人であることがようやく確認できるというレベルです。

当然普通に受験しても絶望的。それどころか塾はサボるし、母親には自分は非常勤講師で採用されただけだって言っているのにすがられるし、どうにも困ったことになってしまいました。

もういいや、どうせ非常勤講師での採用だし、と腹をくくって言いました、その生徒に。

「お互いストレスになるから、英語はもう捨てて数学にかけよう。国語は最低点でよし、でも塾には必ず来いよ。」と。そして親には、「必ず単願の推薦をゲットしてください。」と。

その日から彼女は塾に来るようになりました。そして親は約束通り単願というよりは「嘆願」をゲットし、よし、目標3科目合計120点!ということで、それからはほとんど数学だけの受験勉強。

そしてやってきた合格発表。これで落ちたら非常勤講師もクビになり、もう二度とこの業界では採用されないかも・・・とビクビクしていましたが、結果は見事合格。ほっとしたと同時に言いようのない達成感を生徒とともに味わうことができました。

これだから塾の講師は辞められない。非常勤講師になって1番思い出に残る合格の瞬間です。